ゆるゆるな日々 - はてダ版

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「奇跡」作曲・指揮:灰野敬二 演出・設計:危口統之

草月ホール 奇跡「88人の演奏者と1台のピアノ - 構想40年、灰野敬二初の『作曲』はジョン・ケージ4分33秒』への最終回答」という触れ込みの「奇跡」を観に草月ホールに行ってきました。何とも仰々しい、しかも奇跡だというのです。変に期待してはいけないのだろうけれど灰野敬二なら何かやらかしてくれるんじゃないかと思いながら出掛けて行きました。
チケットはweb上で購入して入場時にiPhoneのアプリを立ち上げいてQRコードを提示するというものです。念の為に家を出る前にアプリを上げて画面が表示されることを確認していました。しかしいざ受け付けとなった時にアプリを上げてみたらIDとパスワードを要求してきます。家では要求されなかったのに。しかもIDもパスワードもわかりません。思いつくものをあれこれ入れても受け付けません。四苦八苦の末、何とかIDを見つけ出しパスワードを再設定できたのは開園10分前でした。早い時間に行ったのに。名前だけ伝えれば入れたようではありますが。
受付では「奇跡」の楽譜が渡されます。それは巻物のような長く黒い紙に銀色のインクで印刷されたものです。88人の演奏者のためにピアノの一番高いCの音から一番下のAの音まで88の五線譜に全音符だけが書かれています。なんだかこれだけども楽しくなってきます。


草月ホール 奇跡会場に入るとステージ上にはグランドピアノを囲むように足場が組まれています。このピアノを88人が弾くための装置です。開演時間となり演奏者がぞろぞろと入ってきてピアノを弾く体勢に入ります。横から下から上から88人が割り振られた鍵盤を鳴らすための体勢をとるのですが、何しろ88人ですから大変です。なかなか演奏できる状況にはなりません。演奏する人の身体を支える人、指示をする人もいます。にやにやしながらそれを皆んなが観ているのです。このざわついた感じはもしかして「4分33秒」への最終回答なのかとも思いつつ。


草月ホール 奇跡灰野敬二も登場し、ようやく演奏が出来るようになったのか掛け声とともにピアノが鳴らされます。どうやらピアノにはセンサーが仕掛けられていて同時に発音したかどうかが検知できるようになっているようです。初回はうまくいかなかったようで休憩に入ります。88人の演奏者はかなり厳しい状態に置かれているようで長時間続けていることはできないようで休み休みつつの演奏(?)です。扇風機も用意されています。酸素も用意されています。時折、悲鳴も聞こえてきます。こちらも緊張してきます。


草月ホール 奇跡何度か88人による演奏が試みられましたがセンサーは同時発音を検知せず、この日は未完の「奇跡」ということになってしまいました。しかし何か凄いいいものを観たという気持ちは残りました。また挑戦してもらいたいなとも思います。多分、自分も演奏に参加したいかといえば、辛そうなのでちょっとという感じではありますが。
わたしにとっての今日の「奇跡」はチケットを表示するアプリのパスワードがわからなくなりあたふたとしたところから始まっていたのかなとも思いつつ帰路につきました。